「Producer's Parade」

【レポート】『Producer’s Parade vol.06 内藤貴仁が語る「広告の未来」』

2016年9月12日に開催された『Producer’s Parade vol.06 内藤貴仁が語る「広告の未来」』のレポートをお送りいたします。

今回の内藤さんの話は大きく3つのパートに分かれていました。

□インターネット広告とは何か?様々なフォーマットの紹介
□インターネット広告でのターゲティングとクリエイティブについて
□今後の展望、広告の未来

まずは様々なインターネット広告のフォーマットについて紹介して頂き、グーグルなどでおなじみの「SEM(検索連動型広告)」や「Facebook広告」や最近伸びているという動画広告、ネイティブ広告などの様々な広告フォーマットに関して紹介してもらいました。

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その中で、ヤフーのトップ画面など「枠」があって、それを一定期間抑えて”面”で広告を出していく「予約型広告」みたいなものより、ターゲットを絞りユーザーの状態などに合わせて随時調整しながら広告を配信していく「運用型広告」が伸びているという話に始まり、いかにターゲティングをして、効果的に広告を配信していくかという「アドテクノロジー」の最前線の話が展開されていきました。

単にネットにアクセスしている時の状況(位置情報サービス)だけでなく、それ以前にどういう行動をとっていたかによって、できるだけ効果の高い広告を配信できるようなシステムがどんどん開発されており、そこまでできるのかという驚きがありました。

最近では、このサイトから来たからこういう広告が表示されるとか、このページを見ていたから関連する興味ありそうな広告が表示されるということは当たり前のようになってきたと言えると思いますが、今後それに位置情報などリアルタイムの行動データが加わることによって、色々な可能性が生まれてくるということが内藤さんの話で分かってきました。

実際アメリカでは、企業がクレジットカード会社から情報を購入することなどは珍しくないそうですが、先月何を買ったとかそういう情報は、今ではその価値が半減しているそうで、それよりはグーグルがもっているような「今○○を知りたい」「今○○を買いたい」というデータだったり、今どこどの場所にいって○○を見ているから、そういう人だったら近くのここで○○を購入する可能性は高いんじゃないかと、そういうまさに株式市場のように、リアルタイムなデータを元にたくさんの企業から逐一入札されて広告が配信されていく仕組み(「RTB(リアルタイムビッディング)」)などの話はすごくインパクトがありました。

位置情報が取れれば、例えばゴルフ場にいるとか、どこどこで働いているから高所得者だとかそういう類推もできます。あるいはソフトバンクショップに行っているとかアップルショップみたいなところに何度か行っているから新しいiPhoneに興味あるだろうとか、どんどんターゲティングが深化しているという話はとても説得力があり、そこからやがてクリエイティブの話に移っていきました。

つまり、ターゲティングが深化して多様なパターンが発生すればするほど、クリエイティブもそれに合わせてたくさん必要になるわけですが、それをどうやってスピード感を落とさずに作っていくか、それを生み出す現場の話です。

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おそらく、楽天やアマゾンで一度見た商品が、自分が別のサイトを見ているときも、追いかけるように表示されている広告というのは多くの人が経験していると思いますが、あれはその代表的な例で、ああやってフォーマットに写真やテキストをその人向けにカスタマイズして出すところから始まり、その技術はどんどん深化しています。

一番驚いたのは、例えば動画広告などは、最後まで見てもらえることが非常に重要なため、最後まで見られるために自動で映像が編集されたりする仕組みが既にあるそうです。

長さや内容など、その人の性格や関心に合わせてカスタマイズされるものが今後増えていくのはある意味では当たり前かもしれません。将来的にはFacebookでアップした画像が自動的に使われたりということもありえるでしょう。

特に日本はストーリー仕立てのものが多いですが、グローバルで言えば、AppleのCMなどがわかりやすい例で、起承転結がなくもっとイメージっぽい、極端に言うと順番を入れ替えても成立するような動画広告が多いそうです。それがネット上など、長さを自動的に調整しながら編集されて配信されているというのは、ある意味ではクリエイティブな仕事をしている人には脅威だと思います。

国や地域、ターゲットのリアルタイムな状態に合わせて、しかもそれが人の手を介さずコンピュータで自動的に編集、配信されていくという話は、全てがそうなるわけではないにせよ、部分的でもそうやってクリエイティブの形が変わっていくというのは、向き合う必要のある話で、参加者全員が固唾を呑んで聞き入りました。

また、インターネット広告の世界では、いくつかのパターンを作った上でA/Bテストを繰り返し、反応が良い方を出していくというのは知られた話ですが、最近では出稿時にどちらの効果が高いかが推測され、自動的にその比率が決定づけられるということもあるそうです。つまり、Facebookなどが、それまでの様々な広告を配信したその結果の蓄積で、テストするまでもなくある程度予測できたりするということなのですが、今後人工知能的なものを含めて、クリエイティブ表現の正解が機械側に決められるということもあるでしょうし、この流れで言えば、人間がやるべきことは、自動カスタマイズされる素材やパーツを作ってシステムの中に放り込むことが中心になっていくのかもしれません。

聞きながら、これはあくまで広告業界の話ではありながらも、ある意味では一番”未来”が詰まっている業界の話だとも思えてきました。そこからエンターテインメントやアートなど、他のクリエイティブ領域にどういう風に影響があるのか、その可能性の一端を内藤さんはわかりやすく最後まで話を続けてくれました。

あと、とても印象的だったのは、今まではまず「20代女性で○○で○○」みたいな形でターゲット像を決めて、それに当てはまる人に広告を配信していくという形だったのが、これからは実際にその商品を買った人達から、次はどんな人達にアプローチすればいいかということを考えていける時代になっていくだろうという話です。

もしかしたら「ターゲット」という形をつくることには意味がなくて、実際に売れた(消費された)という「結果から類推拡張」するという手法が当たり前になっていくのではないかということなのですが、これは人工知能の「ディープラーニング」で言われるような「特徴量」の話に近いものがあると思います。

納得のいく説明や人の心を動かすストーリー性はなくとも、もっとも合理的にモノが売れる仕組みや情報の流通が整理されていくという話は、とても説得力がありました。

また、インターネット広告みたいなものがもっと裾野を広げ、AIによる自動対応と同様に、小口の経営者によるツールとして普及していくと「営業革命」的なことが起こるという話や、それはサプライチェーンとも結びついて、在庫量と連動して広告配信量を変化させるとか、ロボットやアプリ上でのAI的なコミュニケーションの中で、広告的な情報が配信されいていくというモデルの話は、今後の世の中の形が示唆されていました。

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もはやそこまで来ると「広告(広く告げる)」というべきかという話になりそうですが、内藤さんは、偶然に新しいものや想定外に出会うということも含めて、よりその人に合った情報が伝わるとうい意味で「広告の未来には広告は無くなっている」という逆説的なビジョンを持っていて、それが参加者の人にも強く印象に残ったと思います。

「広告の未来」は「クリエイティブの未来」に大きく繋がっています。その辺りをある時はテクノロジーの立場から合理的に、ある時はそこに関わる広告業界のメンタリティから柔軟に話してくれた内藤さんの話には多くの気づきがありました。

また期間をあけて、更に進化した「広告の未来」を内藤さんに話してもらう機会をお願いできればと思っています。

イベント概要はこちら
https://www.facebook.com/events/1080694645340189/

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